三船敏郎はもともとカメラマン志望だった

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 『羅生門』『用心棒』『椿三十郎』などの作品で主演した名俳優、三船敏郎。彼はもともと、カメラマン志望だったという。

 東宝に撮影助手として履歴書を渡した三船。だが、その履歴書はなぜか俳優募集の方に紛れてしまっていた。

 三船は面接の途中で取り違えに気づいたが、面接官に何も言わず、面接はそのまま進んだ。すると、あろうことか合格。三船は俳優として東宝に籍を置くことになった。

 東宝の映画監督の谷口千吉は通勤途中、電車内で三船を偶然見つけ、目をつけていた。自分の会社の俳優だと知ると、谷口は三船を自身の第一作『銀嶺の果て』の準主役に抜擢。三船は拒否していたが、渋々出演を承諾した。

 『銀嶺の果て』での存在感ある演技は評判となり、黒澤明監督の目にも止まった。三船は幾度となく「黒澤映画」に出演。『羅生門』ではヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を獲得した。