日本には番号が全く同じお札もたくさん流通している

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 誘拐事件や現金強奪事件などを扱った刑事ドラマで、紙幣の番号が控えてあるので使うと足がついて捕まるなどというシーンをよく見かける。実際に使って逮捕された事件も多いが、実は、番号が全く同じ紙幣は、日本に数多く流通している。

 紙面の表面2箇所に記載されているこの番号は「記番号」と呼ばれ、「アルファベット1文字から2文字、アラビア数字6桁、アルファベット1文字」の計8文字から9文字で表される。26あるアルファベットのうちIとOは数字の1と0に誤認するおそれがあることからこれらを除く24文字が使われ、組み合わせは129億6000万通りある。

 この組み合わせをすべて使い切ってしまったらどうするのか。答えは、記番号のインクの色を変えて作るのだ。例えば、夏目漱石が肖像だった千円札は発行開始当初のインクの色は黒だったが、青、褐色、暗緑色の順に変わり、2004年に野口英世が肖像の千円札が発行されるまで続いた。また、野口英世の札も発行開始当初は黒だったが番号が尽き、2011年からは褐色が使われている。

 こうして、番号自体は全く同じだがインクの色が異なる、別物の紙幣ができあがるというわけだ。