白雪姫は王子のキスではなく王子の召し使いに殴られて目覚める

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 『白雪姫』は、主人公の白雪姫が、彼女の美しさを妬む継母に毒りんごを食べさせられ、一度は命を落とすが、優しい王子のキスで生き返るというストーリーで知られる。だが、もともとは王子の召し使いに背中を殴られて目覚めるというストーリーだった。

 1812年に刊行された『グリム童話集』の初版に著されている。それによると、白雪姫の美しさに心を奪われた王子は、棺に入った白雪姫を貰い受け、普段から召し使いたちに担がせ連れていた。

 目覚めのシーンでは、毎度担ぐのは大変だと腹を立てた召し使いたちがメインで登場する。召し使いの一人は棺を開け、白雪姫を持ち上げると、「死んだ娘一人のおかげで、俺達はひどい目に遭っている」と言い放ち、白雪姫の背中を手でどんと殴った。白雪姫は、殴られた反動で喉からりんごが飛び出すことで目覚める。何ともパンチの効いたストーリーだ。

 さらに第2版からは、召し使いが白雪姫を担いでいる途中でつまずき、棺が大きく揺れることで喉からりんごが飛び出して目覚めるというストーリーへと変更された。

 現在よく知られているストーリーは、ウォルト・ディズニーの映画によるもの。愛や希望に満ち溢れた彼の作品が、『白雪姫』のストーリーとして受け入れられた。