世界で最初に発見されたビタミンは「A」ではなく「B」

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 ビタミンといえばA、B、Cとアルファベットの名前が付いている。最初に発見されたビタミンはビタミンAかと思いがちだが、実際はビタミンBである。

 現在のビタミンB(B1)が発見されたのは1910年。農芸化学者の鈴木梅太郎が米ぬかからの抽出に成功した。当初は「アベリ酸」と名付けられ、後に「オリザニン」と改名された。

 「ビタミン」の名は、ポーランドの生化学者、カシミール・フンクによるもの。フンクは1911年、同じく米ぬかからの抽出に成功。抽出した成分の中にアミンの性質があったため、ラテン語で「生命の(vital)アミン(amine)」を意味する「ビタミン(vitamine)」と名付けた。

 1914年、アメリカの生化学者、エルマー・ヴァーナー・マッカラムが、ビタミンには脂溶性のものと水溶性のものがあることを発見。自身が発見したものは「油溶性A」、これまでに発見されていたものは「水溶性B」と区別された。

 1920年、イギリスの生化学者、ジャック・セシル・ドラモンドがビタミンCの抽出に成功した。だが、抽出されたものはアミンの化合物とは言えるものではなかったため、ドラモンドはスペルを「vitamin」に変えることを提案。「ビタミンC」の名が付いた。このとき、「油溶性A」「水溶性B」はそれぞれ「ビタミンA」「ビタミンB」と名付けられた。

 ビタミンC以降は、ビタミンKを除き発見順に名付けられている。ビタミンKは11番目に発見されたわけではなく、「血液凝固」を意味するドイツ語の「koagulierung」の頭文字から名付けられた。