栃木県には「おもちゃのまち」という駅がある

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 栃木県壬生町には、「おもちゃのまち」という楽しそうな駅がある。

 おもちゃのまち駅は1965年、東武宇都宮線の駅として開業。駅周辺はバンダイやタカラトミーといった国内を代表する玩具メーカーの工場など約50社が本社、事業所を置く団地が広がる。駅名はトミー創業者の富山栄市郎が命名した。

 団地が形成されたのは、1959年に発生した明治維新以後最大の自然災害、伊勢湾台風がきっかけとなった。1950年代、玩具業界は好調で海外輸出も盛んに行われていたが、一方で、東京都内の低海抜地域に工場を置く玩具メーカーが多く、関係者は焦りを隠せなかった。台風などの自然災害に見舞われた際、世界の子供たちがおもちゃで遊べなくなる。そんな折に伊勢湾台風が発生。危機を感じた玩具工場が集団移転した。

 1977年に住居表示が実施され、駅名にちなみ、町名としてのおもちゃのまちが誕生した。壬生町の旧安塚地区の一部と旧北小林地区の一部にあたる。

 現在では同町のほか、駅のある幸町など周辺地域と併せた一帯が「おもちゃのまち」と呼ばれる。2007年には玩具博物館「おもちゃのまちバンダイミュージアム」がオープンするなど、おもちゃ尽くしの街となっている。