明治時代の妖怪ブームは妖怪を否定した人が起こした

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 明治時代の妖怪ブームの火付け役となったのは、迷信を否定する立場から妖怪を研究していた井上円了という人物である。

 井上は、哲学により妖怪の正体を暴き妖怪を否定しようとした哲学者。『妖怪学講義』など多くの妖怪に関する本を出版し、「妖怪博士」などとも呼ばれる。1858年、越後長岡藩(現・新潟県長岡市)に生まれた。

 また、東洋大学の前身、哲学館の設立者でもある。井上は迷信を否定し、校舎をわざと鬼門に向けて建てた。

 だが、その影響からか、建設中に校舎が台風で倒壊した。その後、校舎は建ったものの、7年後、今度は火災で焼失した。井上は「すべて偶然だ」と否定している。

 明治時代の妖怪ブームは、この連続した災難の影響で巻き起こった。