アナログ時計の秒針が一瞬止まって見える現象は「クロノスタシス」

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 アナログ時計に目を向けると、秒針が一瞬止まって見えることがある。この現象をクロノスタシスという。

 クロノスタシスは、ギリシャ語で「時間」を意味する「クロノス」と、「持続」を意味する「スタシス」に由来。速い眼球運動の直後に見た映像が長く続いて見え、時間が持続しているように感じる錯覚をいう。アナログ時計でいえば、最初に見たときに秒針が動く1秒間が、その次の1秒間よりも長く見える。

 原因は、目で見た映像を脳が処理するときの時差によるもの。眼球は休むことなく小刻みに視線を動かしており、移動に約0.1秒かかる。だが、脳は移動の間に送られた視覚情報を無視し、滑らかな動きになるように処理する。そのため実際よりも少し長い時間、時計を見たと錯覚し、一瞬止まって見えるのだ。