オシドリは毎年パートナーを変えている

|No.327

 「オシドリ夫婦」という言葉がある。鳥のオシドリがつがいになって子育てをする姿が、仲の良い夫婦のように見えることから、そのような夫婦のことの例えで使われる。だが、当のオシドリは年ごとに次々と相手を変えるという。

 オシドリは冬になると群れで越冬する。一夫一妻制でありながらパートナーを生涯愛し続けることなく、越冬するまでの期間限定でつがいになり、子育てを終えると関係は消滅。そして翌年になると新しい相手とつがいになる。

 また、オシドリのオスは繁殖期になると、メスを惹き付けるたために羽が美しい色を帯びる。この姿が目立つために、オシドリの子育てが注目されたこと、さらには同じ個体かを見分けられなかったことが、誤った慣用表現が生まれた原因と考えられている。

 生物に明るい人に「オシドリ夫婦ですね」と言うのは、避けたほうが無難かもしれない。