ズボンの折り返しはもともと泥除けのためだった

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 スラックスの「ダブル」や「カフドボトムズ」と呼ばれるズボンなど、裾を折り返したデザインのズボンがあるが、これはもともと、雨の日に単に泥が跳ねるのが嫌で折り返しただけというのが起源である。

 由来は諸説あるが、イギリス国王のエドワード8世が皇太子のときに行ったのが最も有力とされる。パーティー会場に向かっていた皇太子は、途中雨に遭ってしまい、汚れを気にしてズボンの裾を折り返して歩いていた。だが、戻し忘れたまま会場に入ってしまい、それを見た友人が新しいファッションだと思い、真似したのが広まったというものである。

 ちなみに、この折り返しにも名前がある。アメリカでは「カフ」、イギリスでは「ターンナップ」、そして日本では「蕪(かぶら)」と呼ばれる。蕪の名は、「ターンナップ」を日本人が「Turnip」と聞き取ってしまったことから付いた。「Turnip」は「蕪」を意味する英語。蕪とは全く関係ないが、呼びやすいからとその後も使われるようになった。