電話機のボタンを押さなくても同じ音を出せば電話がかけられる

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 電話は、電話機のボタンを押さなくても、押す時に鳴る音と同じ音を受話器に向かって出せばかけられる。

 電話機のボタンを押すと鳴る音は「DTMF信号」と呼ばれ、ボタンごとに音が異なる。電話は、交換機がこの音を識別し、対応する回線に繋ぐ仕組み。

 DTMF信号は、低周波と高周波の異なる2つの音を混ぜた音が、1つのボタンと対応している。低周波は1、2、3が697ヘルツ、4、5、6が770ヘルツ、7、8、9が852ヘルツ、*、0、#が941ヘルツ。高周波は1、4、7、*が1209ヘルツ、2、5、8、0が1336ヘルツ、3、6、9、#が1477ヘルツ。例えば「110」にかけたければ、697ヘルツの音と1209ヘルツの音を同時に鳴らすのを2回行い、最後に941ヘルツの音と1336ヘルツの音を同時に鳴らせば良い。

 ちなみに、2008年に公開された映画『名探偵コナン 戦慄の楽譜』では、この原理を使い、ソプラノ歌手のゲストキャラクターと主人公のコナンがそれぞれ高周波と低周波の音を担当し、遠く離れた受話器に向かって大声を出して110番にかけるシーンが登場する。ただし、周波数は4ヘルツ以上外れてはならず、正確に音を鳴らす技術が要求される非常に難しい技である。