「ヴ」という字を初めて発明したのは福沢諭吉ではない

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 ヴェルサイユ、ヴィトン、エヴァンゲリオン―。「ヴ」の文字は、現在の一万円札の肖像にも使われている福澤諭吉が作ったとされている。だが、実際はそれ以前にも使われている。

 福沢諭吉は1860年、イギリスの宣教師、ロバート・モリソンが著した華英辞典『華英通語』にカタカナでルビを振ったものを、『増訂華英通語』と題して出版。この中で、アルファベットの「v」をカタカナで表す際、正確な音に近づけるために、「ヴ」や、「ワ」に濁点の付いた「?」の字を用いた。また、自身の著書でも「思付の新案」と、自身が考案したと述べている。このことから、福沢諭吉は「ヴ」の発明者であるとされている。

 だが、「ヴ」の表記自体はこれ以前にも見られる。例えば、1717年に書かれた新井白石の『東雅』では、中国語の「呉」の発音を「ヴー」と表しているなど、「ヴ」の表記が用いられている。

 ただし、「v」をカタカナで表すために「ヴ」を初めて用いたのは福沢諭吉である。これにより「ヴ」が広まったため、確かに「ヴ」を普及させた人物であると言えよう。でも「ヴ」を初めて発明したのは福沢諭吉じゃないんだってヴぁ。