中華料理店の回転テーブルは日本生まれ

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 中華料理店で見かける回転テーブル。その発祥は、中国ではなく、日本である。

 東京・目黒区の結婚式場「目黒雅叙園」が発祥地。1931年、今の場所に移転開業したときに、回転テーブルは誕生した。当時は北京料理や日本料理を扱う料亭だった。

 店のコンセプトは「1日居ても飽きない場所」。店内は美しい装飾がなされ、客を飽きさせない工夫がなされている。店名もこの意味を持つ中国の言葉「文雅叙情」から取った。

 大皿で提供されることが多い中華料理。以前は一般的なテーブルの上に置いていたため、料理を取り分ける際、忙しなく席を立ったり手を伸ばしたりと苦労する客が多かった。

 飽きさせないのがコンセプトの同店。この様子を見ていた創業者の細川力蔵は、どうにかしてすべての客が楽しく食事をできないものかと考えた。細川は大工に相談。テーブルを2枚重ね、上のテーブルが回転するようにしたらどうかという案が出され、世界初の回転テーブルが誕生した。

 戦後になり、日本で回転テーブルを見て驚いた華僑の人が取り入れ、逆輸入の形で中国、そして全世界に広まった。

 回転テーブルの「第1号」は今も現役。同店のメインダイニング、東京チャイニーズ「旬遊紀」にある個室「王城の間」で見ることができる。個室の追加料金が必要だが、予約すれば誰でも利用できる。