「部屋を明るくして離れて見てね」の表示は、『ポケモン』がきっかけ

情報提供: チクッタック 様||No.2

 アニメの冒頭では「部屋を明るくして離れて見てください」と注意を促すテロップが表示される。この発端となったのは、テレビ東京系列で放送され人気となったアニメ『ポケットモンスター』である。

 1997年12月16日放送の第38話『でんのうせんしポリゴン』で事件は起きた。主人公のサトシたちがコンピュータネットワークの中に入り込んでしまうというストーリーで、作中で世界観を出すために激しい点滅を多用し光を表現。特に、放送開始から21分後の18時51分35秒ごろに放送された、ピカチュウの技「10まんボルト」がワクチンソフトのミサイルに当たったシーンでは、赤の背景のコマと青の背景のコマの点滅が1秒間に約12回の速さで約4.5秒間続いた。この作品を見た複数の視聴者が体調不良を訴え、病院に搬送された。

 背景色を激しく点滅させるこの技法は「パカパカ」と呼ばれ、古くからある技法のため、関係者は困惑した。だが、消防庁によると、全国で685人が病院に搬送され、重症者3人を含む208人が入院した。患者の多くは、激しい光の点滅を見ることで痙攣を引き起こす「光過敏性発作」と診断された。

 事件を受け、在京・在阪キー局を中心に、アニメの冒頭で注意を促すテロップを流す対応が行われた。1998年4月、NHKと日本民間放送連盟は「アニメーション等の映像演出手法に関するガイドライン」を発表し、長く激しい点滅を避けるなどの方針が示された。